松の剪定職は意外と危険でキツイ作業

剪定職人らしい人を見たことがある方は多いことでしょう。

でも、剪定職人モドキの人もいるので、パッと見で本当の職人さんを見分けることは難しいかもしれません。

しかし、剪定した後の松の木を見れば、我々はその違いで見分けることは簡単にできます。

でも、そんなモドキ職人さんでも苦労して危険で意外とキツイな作業をしていると思いますよ。

なぜなら、そんなモドキ職人さんも人間です。気温が35℃の世界でも、長袖を着ないと虫に刺されてしまうので、汗だくになりながらの作業になり、そのような状況での暑さには耐えられないと思います。半袖だって35℃には耐えられませんからね。

そんな中で行なう剪定作業は意外と危険でキツイ作業なのですが、どんなことが起こっているのかその一部をここでは紹介します。

苦難を乗り越え松の剪定職人として復活

当方は、松専門の剪定職人として、松の剪定をお客様にご依頼され、お得意様として毎年伺うことが常です。

ただ、腕を使いすぎたために、ここ数年間は利き腕の血行障害のために、松以外のお得意様を減らして活動しておりました。

血行障害は痺れ(しびれ)を伴う病で、手を握る時に力が入らず、私の場合は夜寝ている時にでも「ピキーン」という感じで突然に痺れと痛みの症状が起こり、そのあまりの痛さに目が覚めてしまう状態でした。痺れと血行を良くしようと、寝ながら腕を上にあげブルブルと震わせて、痛みに耐えながら腕を上げたまま眠りにつくことができるようになっていました。「ピキーン、また来たゾ~!」と目が覚め、そのようなことがたびたび起きるようになり、睡眠障害に陥っていた時期があります。

日常の生活で一番ひどい時というのは、洗濯物を干そうとする時です。肘を中心に「ビンビン」という痛みが伴うおかげで、信じられないかもしれませんが、洗濯物をかけていない針金のハンガー1本すら上に持ち上げることができませんでした。1日2度の洗濯は毎日の作業なのでとてもつらいものがありました。

だから、箸を使うこともできず、左腕で箸を握り食べるようにしていました。

そんな辛い時期を3年ほど経験し、完全ではないものの、復活を遂げて松の剪定を専門にお得意様を回っております。

松の剪定作業は意外と指先だけでできる小さな作業になるので、それほど腕の力を必要としないところが、腕肘に負担をかけないところが自分に合っている作業だと感じております。

松の剪定は落ちたら終わりの世界

血行障害は職業病の一部ですが、多くの方がなるわけではなく、使い過ぎや無理をし過ぎたために起こった病気です。

しかし、こちらは、すべての松の剪定職人に起こりうるリスクになります。

それは・・・

松の木は樹齢を重ねると樹高が高くなる性質があります。

例えば、一関市のお宅の松は代々伝わる樹齢100年以上の松が多くあり、依頼される松の樹高は、1階の屋根よりも高いことがほとんどで、時には2階の屋根よりも高い松の剪定を頼まれることもあります。

そんな三脚も届かない松でも剪定は行なうことはできます。

では、そんな大きな松はどのように剪定をしたらよいのでしょう?

それは、もちろん松の木に登って剪定をするのが答えです。

高所恐怖症の方には無理な作業かもしれません。

この三脚は3.6mなので、天辺に立つと5mくらいにはなり、下を見ると相当高く感じるはずです。もしも、松の剪定をしていて落ちたら終わりですから、高所はそのようなリスクが伴う世界なのです。

松の上から感じられる世界

ただ、木の上の景色は地上で見る景色と違って特別なものがあります。

それは2階の屋根の高さと同じ高さの松でも、屋根で見る感覚と松の上で見る感覚は違うものがあります。

松の場合には、何というか言葉では言い表せない、生きているものの上に乗っかって寄り添いながら、語り合うような感じさえ起こってきます。

ただ単に剪定をしていても、このような感覚は起こらないかもしれませんが、松の枝の上に乗せてもらい、松と感じ合うことはできるのです。

すると、松がどのように剪定をしてほしいのかがわかるようになります。

変な幻覚が見えたりしてるのでは?とか、何か幻聴が聞こえるのでは?とか、頭がいかれて気が狂っているのでは?と思われるかもしれませんが、別にヤバイ薬を使っているわけではなく、長年剪定作業をしているうちに、自然と松や高木と交流できる気持ちや意識が出来上がったのだと思います。

松の剪定職は、一般的には意外と危険でキツイ作業ではあるのですが、このような意識が身につくと松の剪定や高木に登ることが楽しくなります。